遍路道から巡る隠れ名所 | 40番〜41番


愛媛といえばみかんのイメージが強いですが、お魚も美味しい愛媛県だと、四国遍路のおかげで知ることができました。そういえば鯛めしは、むしろまだ食べてないかも?

40番観自在寺を出てからの歩き遍路の道すがら、訪れた場所です。

他の札所から訪れることができる四国のスポットは、こちらの記事にまとめています。

知らず通り過ぎてた、作りたてじゃこ天の店

じゃこ天を知り、たどった末路

8月のある日、車道脇の歩道を歩いていました。

人が歩く姿はゼロ。

車のために作られたような道には、日陰もゼロ。

車がバンバン通るのを横目に、つば広の帽子を目深にかぶり、パンダと笹がプリントされた手拭いを顔に巻きつけ……まぁまぁの不審者です。

暑すぎで不審だとかそんなこと構っていられませんでした。

夏に一日中肌を出していると、日焼けを通り越して火傷みたいになってしまうことを、初めて歩き遍路をした時に思い知らされていた私。

食事代よりも下手したら水分代の方がかかる夏のお遍路道です。

日焼け止めを塗っても、あっという間に汗で流れていきます。

日焼け止めの匂いも好きではないので、塗らないかわりに不審者の様になってしまいます。

話しかけてくる人などいないし、と開き直っていたのですが

「お遍路さーん」

声が聞こえてきたのでした。

前の方で止まったトラックから人が降りてくるのが見えました。

流石に慌てて手拭いをぐいと下げます。

「これ」

こんな時期にあるきよるんね、と言いながら差し出された手を見ます。

スーパーでお肉などを買った時に、レジで入れるようなビニール袋を受け取りました。

中に入っている塊は……なんだろう。

「じゃこ天、さっき近くの店で買ってきた」

薄いビニール袋から透けて見える感じは、地元九州のてんぷら(さつま揚げ)かな?

にしては平べったいなと思っていると、

「じゃこ天って、宇和島が名物だと思うでしょ? でも本当は宇和島より南のここ、愛南町の名物なんだよ」

とても悔しそうに言うおじさん。

この流れは、じゃこ天はみんな知ってて当然の超有名な食べ物なのだと、瞬時に察します。

じゃこ天を今、初めて知った私でしたが、

「へぇ、そうだったんですね」とおじさんの熱に飲まれて、知っているふうに話を合わせたのでした。

これ、そのまま食べるんかな。

頑張ってねと、トラックに乗って去っていくおじさんを見送りながら、ビニール袋の口を開けてみます。

正直暑すぎて、食欲も失せていました。

手に持ったままもなぁと思い、リュックに入れておこうかと考えました。

ビニールを簡単に縛っただけの感じは、リュックの中で熱くなってもよくなさそう。

うん、一口だけ食べてみよう。

一枚摘み出して、一口かじります。

「……ちょっと待って、うま」

地元のてんぷらと同じかと思ってたけど、全然違う。

シャリシャリしたすり身の食感と魚の風味が、めっちゃ美味しい。

少し感じる塩気がすごく良くて、シャリシャリモグモグが止まりません。

この一枚だけ食べきろう。

……

……

……全部食べました。

あとで取っておこうと思ってた分まで全部。

車がガンガン通る道の脇で、炎天下の下、自分の行動が信じられませんでした。

お店はいつの間にか通り過ぎてしまっていたらしく、3周目のお遍路では、絶対寄るんだと決めてしっかり寄り道しました!

一枚単位で販売していて、前回お接待いただいた時と同じビニール袋に詰めてもらいました。

……後から食べるぞと思ってた分まで、また全部食べてしまいました。

すっかりトリコの山田のじゃこ天、行かなくても買えるのは便利。

山田商店の場所

南宇和郡愛南町御荘菊川3417

可愛いネーミングと裏腹にゴツい、媛スマ

▪️距離▪️
・場所:ゆらり内海
・媛スマを食べれる時期:秋冬(お店自体は年中やっています)
・遍路道からの行きやすさ:行きやすい

金曜+媛スマを食べる=金スマ!?

今でこそだいぶ収まりましたが一日中遍路道を歩いていると、常に腹ペコです。

大学時代に初遍路をしたときは、朝からご飯3杯くらい食べて、朝10時くらいには「お腹すいた、お腹すいた」と言ってた記憶があります。

秋の遍路道。

食欲MAXなのに、こんな日に限ってお昼ご飯を食べれそうな場所がないなぁとお腹を空かせて歩いていると……運よくご飯どころを見つけました。

普段あまりゆっくりお昼ご飯を食べないのですが、吸い寄せられるように中に入ると、とっても綺麗な店内でした。

メニューと取ると、表紙の「まるごとトロ!」の文字が目に止まります。

媛スマ……?

聞いたことがない名前に、そして、丸ごとトロなんてお魚がいるのかと、ちょっと怯んだ私……。

そんな私に畳み掛けてくるかのように、メニューの表紙。

もう、めいいっぱいで超おすすめしてくるじゃん!

「媛」の名を冠しているからなのか、ちょっといいお値段です。

でもトロなんでしょ? でも高いでしょ?

メニューを凝視しながら、迷う迷う。お腹も空いてるから大混乱。

秋の食欲に負けました。

ここまで来たし……と注文したのでした。

歩き遍路をしているのに、相変わらず煩悩が拭えません。

注文してからネットで調べてみました。

今いる愛南町で養殖された高級魚だということが判明!

しかも、超希少のためあまり市場に出回らない……!?

そんな高級な魚を食べて、贅沢していいのだろうか!?

思い返しても、そしてこの先の道でも、食事処などで媛スマを見たことがありません。

(私の目にたまたま入ってないだけ、なのかもしれませんが)

そんなことを考えていると、のぼり旗付きでお膳が到着。

金曜日に媛スマを食べることを金スマというらしい、ということも知り、そういえば今日金曜日じゃんと浮かれながら(だからと言って何ってことはないと思うのですが)いただいたのでした。

ひとくち頬張ると、トロットロでした。

口の中で消えていく。

可愛い名前に似つかわない、ゴツい美味しさ。

食べ物ではなくて飲み物か? という勢いで食べた食べた。

あっという間に丼が空になり、超満足でした。

ごちそうさまでした。

ゆらり内海の場所

ゆらり内海:https://yurariuchiumi.com

次に狙うは……

びやびやカツオ!?

いつもこの看板を横目に、いつの間にか通り過ぎているらしく、今度こそ! と狙いを定めています。


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