遍路道から芍薬の名所へ | 34番近く【歩き遍路の寄り道ガイド】


高知県の芍薬の名所が34番種間寺の近くにありました。

遍路道で出会った地元の方に教えてもらった場所へ、半信半疑で行ってみると……青空の下で芍薬が咲き乱れていました。

今回知った名所では様々な種類の芍薬を育てていて、ネット販売もあります。

現地に行くことができなくてもプレゼント用などで郵送できるため、普段なかなか会えない実家の母に贈りました。

玄関用と床間用と……たくさん生けて喜んでくれました。

私自身も、歩き遍路3周目で寄り道する余裕を持てるようになり、改めて四国の素敵な部分がたくさん見えるようになりました。

寄り道して訪れた、四国のスポットをまとめたページは↓です。

地元民おすすめの名所には、芍薬5万本!

▪️場所▪️
・場所:雨森芍薬観光農園(下に会場地図が見れるURLもあります)
・時期:4月下旬〜5月上旬(開花時期により異なるそうです)
・遍路道からの行きやすさ:少し遠い

遍路道でお勧めされたのは、芍薬の名所でした

「お遍路さ〜ん」

「こんにちは」

ゆっくりした足取りで、前から歩いてきたおばあちゃんと出会いました。

あぜ道を爽やかな風が吹き抜けていきます。

「あのね、この辺りに芍薬が咲いているところがあるのよ」

芍薬?

出会い頭の言葉に、思わず周りを見渡しました。

見渡す限りの畑と奥に山が見えるだけで、花の色は微塵もありません。

この辺りって、そう遠くないってことだよね?

おばあちゃんの言葉を頭で繰り返してみます。

そしてもう一度、おばあちゃんのきた方角を目をすがめて見たけれど、新緑が広がるばかり。

芍薬??

不思議そうにしている私の心の中を知ってか知らずしてか、

「(芍薬が咲いているところから)15分くらいでここまで帰ってきたのよ」

言いながら、これが証拠だと言わんばかりに、私に手をずいと差し出しました。

目線が、おばあちゃんの手のひらに寄せられます。

ん? これは……?

それが何かを理解するのに時間がかかりました。

おばあちゃんが手のひらに乗せていたのは、四角い……目覚まし時計?

「15分くらいだったわよ」

時計を握りしめながら歩いて来たのかな?

へぇ、15分くらいのところにあるんですね、相槌を打ちながら考える私。

だって今日も、自分が歩ける距離ギリギリを狙って宿を取っていました。

往復で30分、花を見ると余裕持って1時間くらいか……。

「とっても綺麗な芍薬の花が見れたのよ。お遍路さんの足ならすぐよ」

私で15分くらいだったのだから、と自分の来た道を指しながら笑顔のおばあちゃん。

四角い形の目覚まし時計を手に、歩いて来たのだ。

スマホはもちろん、カメラも持っていないでしょう。

記憶に残してきた芍薬を、「すごく綺麗だったのよ」と笑顔で話していました。

あんまり、そう、あんまりにも嬉しそうだもんだから、「どうやって行くんですか?」と聞いたのでした。

「あそこの道を…」

と指差して教えてくれます。

が、いかんせん、田んぼの真ん中にいる私たちです。

草に隠れて道がどこにあるのか、イマイチ見えません。

頷きながら、どこをどう曲がればいいのか曖昧です。

確実に分かったのは、おばあちゃんが指差す、芍薬が咲いている方角のみでした。

説明を聞きながら、ぐるぐる考えました。

おばあちゃんの足取りで15分くらい、でしょ?

あの方角……民家に咲いていたのかな?

「行ってらっしゃい」

あっちですよね? とおばあちゃんの指し示した方角を最後に確認し、遍路道を外れて歩きだしたのでした。

予想していた民家の方に着いたけれど……花はどこにも見当たりません。

しばらく畦道の中を迷いながら、相変わらず辺りは緑色。

遍路道もだいぶ外れちゃったしなぁ……。

もちろんスマホにもソレらしき場所は見当たらず、辿り着けないかもと半ば諦めながら、遍路道に合流するために車道まででることにしました。

先に向かおうかな、と思ったときでした。

車道に出ると、遠くにピンク色の看板が目に入り、近づきます。

あ、ピンク色は芍薬か! 「しゃくやく祭り」って書いてある!

車が看板の矢印を辿るように流れていきます。

民家の庭にちょっと咲いてる、とかじゃなくて、この地域のお祭りだったんだ。

ただ、ここまでで距離も時間もかなりかかっていました。

行くか迷いながら、浮かんできたのは「とっても綺麗だから行ってみるといいわよ」と嬉しそうに言っていた、笑顔でした。

記憶に残る美しい景色を私にも見てほしい、ソレはきっとおばあちゃんからのプレゼントだったのでしょう。

迷っているくらいなら、行こうか。しゃくやく祭り会場までの道を歩きながら、この道を一人、手に目覚まし時計を握りながら歩いたであろう姿を思い浮かべるのでした。

芍薬の美しさは想定外!

途中、「日本一のしゃくやく祭り」と書いてあるのぼり旗が風に揺れていました。

日本一か、大きなお祭りだったんだ。

最初聞いた時は、民家の軒先に咲いてるのかな? くらいに想像していたから、思ってたのとだいぶ違い、期待膨らむ私。

もうすぐ到着らしく、テンション上がってきたのに、目の前には上り坂が続いています。

急いでいることもあって、ヒーヒー言いながら登りつつ、思いました。

あのおばあちゃんはひょっとして、かなりの健脚の持ち主だったのだ……。

会場には駐車場も準備されていて、車もたくさん停まっていました。

周りを見わたすも、どうやら歩いてたどり着いたのは私(とおばあちゃん)だけのようでした。

農園の中は芍薬の花、花、花!

辺り一面の花畑とは、まさににこのこと!

本当、ぎっしり? ぎっちり? という言葉しか思いつかなくて、思わず立ち尽くす私。

むせ返るほど咲き乱れていました。

青空の下、一面の白とピンク。

いやー、これはズゴイ。

そして、おばあちゃんが全力でオススメしてくれた景色を、時間差で私も見れていることに、なんだかとても心が温かくなりました。

たまたまこの時期、そして偶然あぜ道で出会わなければ、知ることはありませんでした。

一期一会ならぬ、一遍路一会。

出会いも寄り道もお遍路の醍醐味だなぁと思いながら、この出会いと芍薬を思い出に持ち帰るため、写真を撮ったのでした。

「しゃくやく祭り」会場 & 開催日程

こうち旅ネット:https://kochi-tabi.jp/search_spot_sightseeing.html?id=16252

地図だとこの辺りです。

ネットで購入できる多種の芍薬は、母の日の贈り物にもお勧め

雨森農園のHP:https://amenomorinouen.com

「しゃくやく祭り」を開催している雨森農園では、母の日のプレゼントにも喜ばれそうなネット販売をしていました。15種類の芍薬を育てていると書いてあり、さっそく実家に贈ったらとても喜んでもらえました。


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